デング熱の基本情報や予防方法

掲出日:2015年8月6日

監修:森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所所長)

蚊を介して感染者を増やす「デング熱」。昨年は、治療薬がないことや、いくつかの公園が封鎖されたことなどで大きな話題になりました。今年も感染が広がるのではないか?と不安に思っている人も多いかもしれませんが、昨年のデングウイルスが国内に残り続けている可能性は非常に低いです。しかし、海外旅行客などを媒介してウイルスが日本にやってくる可能性は十分にあります。そのため蚊の多い時期となるこの夏も注意が必要です。どのような病気であり、どのように予防できるのかを知り、デング熱の対策をしましょう。

Q1. どんな病気?/ A1. デングウイルスに感染したことにより高熱などを引き起こす病気です

デング熱の多くは、発症後1週間程度で後遺症もなく自然に回復します。症状が出るまでの潜伏期間は2〜7日(最長14日)で、発症すると突然の発熱、頭痛、関節・骨・筋肉の痛み、嘔吐(おうと)などの症状がみられます。また、ウイルスに感染しても、デング熱を発症しないこともあります。

また、重症型のデング熱(デング出血熱)にも注意が必要です。重症型では大量の血漿漏出(けっしょうろうしゅつ)、出血症状、臓器障害が起こり、正しい処置をしなければ死に至ることもあります。

  • デング熱の症状
    突然の発熱
    発疹
    悪心/ 嘔吐
    体の痛み(関節痛・筋肉痛・頭痛)
    ターニケット(駆血帯)テスト陽性
    白血球数低下
  • 重症化の兆候を示す症状
    腹痛
    持続する嘔吐
    胸水/ 腹水の貯留
    粘膜出血
    嗜眠/ 不穏
    肝腫大(> 2cm)
    急激な血小板減少に伴う
    ヘマトクリット値の上昇
  • 重症型に見られる症状
    重度の血漿漏出によるショック
    呼吸窮迫を伴う体液貯留
    (肺水腫、腹水)
    重度の出血
    重度の臓器機能障害
    (肝機能悪化、意識障害など)

重症型になりやすいケースは、過去にデング熱に感染したことがある人が再び感染した場合です。デングウイルスには4つの血清型のウイルスがおり、過去に感染したデングウイルスと異なる血清型のウイルスに感染した場合に、重症型になる可能性が高くなります。

Q2. どうやって感染するの?/ A2. ヒトからヒトへ感染はせず、蚊を媒介して感染します

ウイルスは、ヒト−媒介蚊−ヒトの感染サイクルで広がります。国内ではヒトスジシマカという蚊がウイルスを媒介します。

昨年のヒトスジシマカが今年も残っているかもしれないと思う人もいるかもしれませんが、その確率はとても低いです。ヒトスジシマカは、卵の状態でしか冬を越せません。またデングウイルスに感染したヒトスジシマカは産卵をしていますが、子孫がデングウイルスが感染する率は低いからです。

しかし、今年もデング熱が流行しないという可能性はゼロではありません。ウイルスは、多くの場合デング熱流行国で感染した旅行客が来日、または帰国することで国内に入ります。蚊の多くなる夏にはウイルス拡散の危険性が高まります。

デング熱の感染経路

Q3. 予防するにはどうしたらいいの?/ A3. 周囲のみずたまりを取り除くことが予防につながります

予防するワクチンはなく、意識的に予防する必要があります。例えば、肌の露出を少なくする、虫よけスプレーを散布する、室内では殺虫剤を利用することが効果的です。また、ヒトスジシマカはヒトが生活している周辺に存在する小さな水たまりで繁殖するため、その産卵場所となる水たまりを取り除くことも予防につながります。

ヒトスジシマカの発生源の例

出典:厚生労働省

Q4. 感染したかもしれないと思ったら?/ A4. 自身で感染の診断はできないため、医師に診察してもらいましょう

デング熱の症状として急な高熱が挙げられますが、海外旅行の後や周辺地域でデング熱が流行していなければ感染の可能性は低いです。デング熱であった場合でも、状態により必要な処置が異なります。

軽症のデング熱場合、水分を取り、安静にしていれば大丈夫です。必要に応じて、解熱剤を用います。ただし、解熱剤は、出血を助長すると考えられているアスピリンではなく、アセトアミノウェンを服用します。重症型の場合、血漿漏出により血液が濃縮されるため、適切な輸液が必要となります。現在、直接的な治療薬がないため、治らない病気に思えるかもしれませんが、正しい処置を受けられる日本ではほとんどの場合回復します。

デング熱かもしれないと思ったら、軽症か重症かを自分で判断せず、医師に診断してもらいましょう。

Q5. 治療薬はいつできるの?/ A5. 見通しは立っていません

治療薬を作るには、まずデングウイルスの解明が必要です。デングウイルスの構造や感染病態は複雑で、日本でも本ページを監修した森田公一先生を筆頭に最先端技術を駆使した研究がされています。

森田先生のデング熱解明に向けた
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